航空機の構造部材は近年、CFRPへの移行を強化している。CFRPへの移行により軽量化に伴う燃料向上効果に加え、組立作業工数の削減等の副効果も実証されている。しかし、CFRPは、従来材料のアルミ合金と比較した場合、素材コストとして3倍以上も高く、コスト面で大きな課題を抱える。これは炭素繊維のコスト高が主な原因であり、CFRP製造工程で生ずる材料ロス、工程ロスがコスト高を助長する大きな原因となっている。CFRPは、炭素繊維の経糸と緯糸が90度で交わる二軸織物に樹脂を含浸させたシート(以下、二軸織プリプレグ)と±45度のバイアス織物に樹脂を含浸させたシート(以下、バイアス織プリプレグ)を交互に複数枚積層しオートクレープ成型にて製造される。二軸織物は、経糸と緯糸が90度に交わる一般的な織物であり、炭素繊維を二軸製織する技術は確立されている。それに対し、±45度のバイアス織物は現状の技術では製織できず、二軸織物を斜め45度にカットして繋ぎ合わせるという非効率な工程を経て製造している(図1)。
こうした状況下、川下製造業者等には、これまでの素材・工程等の生産ロスを解消し、CFRPコストの大幅なてい低減を早期に実現させたいという強いニーズがあり、炭素繊維ならびに製織技術の開発が強く求められている(図2)。
トーションレース機の製織原理を応用した繋ぎ目のない炭素繊維連続バイアス織物製織装置を開発することで、CFRPの低コスト化・高強度化を実現した(図3)(写真1)。
そのための主な開発内容として、以下を実施した。